イプセンの「野鴨」の劇評。
「ああ! この芝居を見た人たち(観客)、翻訳したランダンローブとエフライムたち、作家(イプセン)、着想させたシェイクスピア、神も、悪魔も、誰ひとり、「野鴨」とは何か、ドラマのなかで何が行われているのか、何を意味しているのか、何を語っているのか、誰ひとり、まったく絶対に理解していないだろう。」
19世紀でもっとも権威のあった劇評家、フランシスク・サルセー。
わけのわからない芝居を見せられたときの劇評家の表情がよくわかる。私は、サルセーを軽蔑してはいない。ただ、サルセーのような劇評が堂々とまかり通っていた時代を軽蔑している。