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私は、どれほど多くのヒロインたちにめぐりあってきたことか。「ナスターシャ」や「ソーニャ」たち、「エマ」や「ジャンヌ」たちにめぐりあうことがなかったら、私の人生はどう変わっていたか。
私が好きになったヒロインたちは――現実の恋愛とはなんのかかわりもないもので、いわば夢の造形のようなものだった。映画のヒロインたちにたいする関心は、「ヒロイン」と「ヒロイン」を演じた女優たちにたいする、さまざまにニュアンスの違う想念と彩られていたけれど。