話を戻そう。
女の眼の輝きは、しばしば、その女の秘密を物語っている。
眼の色彩と光沢が、さまざまなひょうじょうを見せる。感情の昂ぶりから瞳の大きさがいろいろと変化する。
そして、眼のうるおい。涙があふれる。
セックスのあとの女の眼の美しさ!
男なら、彼女のいろ、うつろなまなざしを忘れないだろう。
睫毛。英語では eyelash。
たいていの女のまつげは、上まぶたの方が長い。これは、きっと光をさえぎるためにそうなっているのだろう。と同時に、まつげは、女の白目の部分を美しく見せる。
だから、長い睫毛を強調するために、彼女たちは、つけまつげ、マスカラを愛用する。
私は舞台の演出をしてきたので、女優のつけまつげ、マスカラには注意を払っているけれど、街で見かける若い女性のつけまつげ、マスカラにはあまり感心したことがない。つまり、あまり魅力を感じない。
Flutter her eyelashes at~ という用法がある。ウィンクする、という意味。このフラッタリングに、つけまつげ、マスカラが効果があるかどうか。
lash をflutter するというと、なにやらおそろしくなる。
私にいわせれば、たいていの女の子たちは、眼を見開いたときの効果しか考えていない。自分の眼の美しさ、それをさりげなくどう見せるか、そのことを知らない女が多い。
たとえば、流し眼(秋波)の効果は、つけまつげ、マスカラのせいで、かえって、いやらしくなったり、陰険な眼つきになったり、蔑みとしか思えない。
ほんとうの美しさは、眼のそよぎ、さやぎにある。とくに二重まぶたの女性は、眼の美しさをつけまつげ、マスカラが減殺することがある。
眉について。
日本の女に眉が美しい「おんな」がいる。むろん、外国の女性の眉も美しいのだが、日本の「おんな」は眉弓が、外国の女性ほど眼に近くない。
一重まぶたであっても、眼から眉におっとりした感じがある。能の小面の眉は、極端に髪の生え際についている。かつぎ、市女笠などをかぶって出たり、蝋燭、篝火、あるいは自然光の下で演じても、日本の「おんな」の眼が生きる。そのための眉になっている。
眉をひそめる。眉根を寄せる。眉をあげる。
女の表情は眉によって変化する。とくに、セックスのときに。